労働保険とは

労働保険について

労働保険とは、労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険のことをいいます。

原則として労働者を一人でも雇用していれば適用事業所となり、加入と労働保険料の納付が義務付けられています。

しかし、昨今では労働保険の手続きを完了していない事業所が非常に多いため、厚生労働省では極めて重大な課題として取り扱われています。そのため「未手続事業一掃対策」という取り組みを行い、労働保険の適用事業にも関わらず手続きを完了していない事業所に対して積極的な成立手続きを行っています。

その場合、成立手続きが行われていない期間を遡り労働保険料を徴収するほか、その保険料に上乗せする形で追徴金を課せられてしまいます。

労災保険とは

労働者が業務上(業務災害)や通勤(通勤災害)によって怪我を負ってしまったり、病気をしてしまったとき、もしくは亡くなってしまった場合に保険給付を行う保険です。例えば、業務に内在する有害な化学物質(アスベスト等)、体に負担のかかる作業、病原体などが起因する場合を指します。

また、通勤災害についても条件があります。その条件はまず、就業に関することと、住居と就業の場所の往復であることが必要です。よって、移動の経路を逸脱して他のルートで通勤したり、途中で中断した場合における怪我などの災害は「通勤災害」とみなされない可能性があります。

原則として、労災保険法における用件を満たしている必要があるため、注意が必要です。

労災保険の手続きの流れ

実際に労災保険を使用する際に、一体どのタイミングで支払いが行われて、病院にはどのような書類が必要で、全体的にどのような流れで処理が行われるのでしょうか。怪我や病気といった場合の請求は以下の流れで行われます。

  1. 被災者が診療を受ける
  2. 事業主が請求書を作成
  3. 被災者が請求書を病院へ提出・支払い
  4. 病院から労働基準監督署へ請求書を送る
  5. 労働基準監督署から労働局へ請求書を送る
  6. 労働局から病院へ支払い

被災労働者が亡くなってしまった場合など、手順が変わってくる場合もあるため、管轄の労働基準監督署か社会保険労務士へ相談することをお勧めします。

雇用保険とは

雇用保険とは、労働者が失業した場合、または事業の継続が困難な場合に生じる解雇の場合に、その労働者の生活や雇用を促進することを目的とした保険です。再就職までの間や、教育訓練を受けられる方に必要な給付を行っています。

また、再就職の給付だけでなく失業の予防や雇用構造の改善なども事業の一つとして行っています。

雇用保険の支給を受けられない場合

雇用保険の求職者給付は、再就職を目指す方を支援する制度です。そのため原則として、雇用保険の支給を受けるためには該当してはいけない条件があります。詳しくは以下に記載しますが、条件に当てはまった場合でも、中には支給可能になるケースも存在するため、管轄のハローワークや社会保険労務士に相談することをお勧めしています。

  • 家事に専念する方
  • 学生、学業に専念する方
  • 次の就職先が決まっている方
  • 自分の名義で事業を営んでいる方
  • パートやアルバイトの方(条件あり)
  • 同一事業所で就職・離職を繰り返しており、再び同一事業所に就職する予定のある方

他にも様々な条件があるため、雇用保険の支給を検討している場合に自分は該当者かどうかを確認する必要があります。

雇用保険の支給手続きの流れ

雇用保険の支給を受給するためには、住んでいる地域を管轄しているハローワークへ申し込みをする必要があります。原則として、離職より前に12ヶ月以上の被保険者期間があることが申し込みの前提です。しかし、勤め先の倒産や解雇による離職の場合などのやむを得ない理由があると、離職より前の1年間に6ヶ月以上の被保険者期間があることに条件が緩和されます。

また、支給される基本手当には給付日数が定められており、対象者のシチュエーションにより給付日数は異なってきます。自己都合で退社をしたのか、会社の倒産や解雇による退社なのか、障がいを持つ方の就職困難なのか等、複数のパターンが存在します。

更に、2020年のコロナウイルスによる条件の変動などもあり、これらの条件は複雑なため、ハローワークや専門家である社会保険労務士への相談をお勧めします。

事業主が行う雇用保険の手続き

雇用保険の手続きにおいて、以下の場合には事業主が手続きを行う必要があります。

①労働者を雇い入れることとなった場合

事業所を管轄するハローワークへ「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。また、更に労働者を雇い入れた場合にも、その都度ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要があることに注意しましょう。

②労働者が離職した場合

雇用保険の被保険者が離職した場合には、「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」を提出する事になっています。なお、離職証明にかかる理由について主張が異なっている場合、事実関係の調査が行われます。

当事務所の労働保険に関する主なサービス内容

社会保険に関する手続き業務は自分で行うことも可能ですが、慣れていない方が行うと多くの時間を費やしてしまいます。専門家である当事務所にアウトソーシングすれば、正確・スムーズに手続きを遂行します。

  • 新規加入
  • 年度更新
  • 従業員の入退社に伴う手続き
  • 労災保険の給付申請

社会保険の新規加入・年度更新に関しましては、顧問契約を結んでいない企業様もご依頼いただけます。また、従業員の入退社に伴う手続き、労災保険の給付申請は顧問契約に含まれるサービスとなっていますが、顧問契約を結んでいない企業様も有料でご依頼いただけます。労働保険業務のアウトソーシングをご希望される企業様は、お電話・お問い合わせ窓口よりご連絡ください。